Loading...

「認知負荷ゼロ」とか言いながら脳みそフル回転させてくるシステムの話

自社開発のシステムエンジニアとして働いているのですが、ある日、営業さんがキラッキラの目で新しいWebシステムの話を持ってきたわけです。
「ビジョンが! ミッションが! バリューが! UI・UXが!」って。

言葉だけ聞いたら完全にすごく魅力的なプロダクトで、ユーザーもこれを聞いたら前向きに検討してくれるでしょうね。

それで、「あなたに開発を任せたい!」って言われて画面のモックを見せられたのですが……

いやちょっと待って!

一画面に全部詰め込むのやめて。

メニューある、検索窓ある、文字並んでいる、ボタンたくさんある。

で、どれを使えばいいの? ユーザーはエスパー?

さらに背景が動く。アイコンも動く。通知アイコンも動く。NEWアイコンも動く。謎のキャラまで常に画面でうねうね動いてる。

まず落ち着きなさいよ。20年前のサイトかよ。

この画面で、どれを見ればいいの? どれが伝えたいものなの?

極めつけがこれ。

営業「ミッションの一つは、認知負荷ゼロの追求です!」

いやいやいや、ゼロどころかフルスロットルで脳に負荷かけにきてますよね。

ユーザーに何させたいのか、1ミリも伝わってきません。むしろ「全部触ってみてね☆」っていう丸投げUIですよね。

だから、優しく、ほんと優しく、「これ認知負荷高すぎませんか?」って一つひとつ指摘してあげました。

そしたら営業さん、しょんぼり。同席していた上司は爆笑。まあ、笑うしかありませんよね、この状況。

「AIに作らせました!」で思考停止

カオスなモック、誰が作ったのかと思ったら、デザイナーチームでした。「この会社にはデザイナーがいるんだ」と感心すると同時に「デザイナーとは……?」と疑う気持ちも出てきます。

それで、実際にデザイナーたちに話を聞いてみたら、

「AIに壁打ちさせてHTMLとCSS出させました!」

って、めちゃくちゃ爽やかに言われました。

うん……動かないモックよりは100倍いいですよ? 手で全部書くより効率いいのもわかります。でも、それって 「デザインした」って言っていいの?

AIが出してきたものをそのまま並べて、「はい完成です!」って、生成物の貼り付け係?

まあ、そのデザインはWebシステムとしてパッと見はそれっぽいですし、無難で整っています。AIに頼むとよくお出しされる、白背景、紫グラデーション、フォントはInter、太字多用です。

しかし、

「なんでこうなってるのか」が誰にも説明できていません。

「このレイアウトにした理由は何ですか?」

「この動き、何のためですか?」

「この色使い、どういう意図ですか?」

「この太字、つぶれて読めませんよね?」

「このキャラクター、何のためにいるのですか?」

「日本語フォントは指定しないのですか?」

って聞いたら、

「AIに出させただけなんで」

で終わりでした。嘘でしょ?

それで仕事成立するなら、みんなもう帰っていいですよね。

結局、営業さんが語ってた「認知負荷ゼロの追求」も、誰も追求していませんよね。

AIは考えない、責任も持たない。なのに人間側まで考えるのやめたら、誰も意図を持ってないプロダクトが爆誕するだけです。

見た目だけ整ってても、触るとよくわからない。で、最終的に困るのは誰ですか?

ユーザーと、実装するエンジニアです。

はい、出ました~! 現場に全部しわ寄せが行くやつ~!

キラキラした言葉で塗り固めた理想と、現場で動く現実の差がエグすぎてね……。

わくわくする見た目のはずが情緒を削ってくる黒い壁

「わくわくする見た目にしたい!」

営業さん、またキラキラした言葉を掲げています。ユーザー体験を大事にするのはすばらしいです。で、デザイナーチームも頑張ってるらしい。コンセプト決めて、世界観作って、AIにガンガン生成させて……出てきたのが、

真っ黒のサイドメニュー。

その「わくわく」、どこ行った?

確かに、業務システムとしては無難で、落ち着いてるし、使いやすいかもしれません。

でも、

わくわくではなく「無」でしょう。

黒。ひたすら黒。感情ゼロ。温度ゼロ。魂どこ?

「世界観作り込んでます!」って言われても、

その世界、闇に閉ざされていませんか? 大丈夫?

そもそも「わくわく」って何ですか? 第一印象で驚く? 操作が気持ちいい? 達成感がある? ビジュアルが楽しい? 全部やろうとして、全部中途半端になっちゃってます。

で、さらに厄介なのがここから。

コントラストとかアクセシビリティとか、その辺のWeb基準が怪しいのは百歩譲っていいとする。知識の問題だから。学べばどうにかなる。

でも、センスはどうする?

これ、誰も触れたがらない地雷。

開発者としてその画面、何度も何度も何度も見るわけですよ。するとどうなるか。

じわじわメンタル削られていく。

黒い。また黒い。今日も黒い。気づけば心までダークモード。ダークモードに設定していないのに。

「ここ微妙じゃないですか?」って言いたいけど、それつまり

「センスないですね」って言ってるのと同じですよね。

言えるかそんなの。相手「デザイナー」ですよ? 肩書きと現実の乖離がエグすぎて、どこから突っ込めばいいのかわからない。

結局また、誰も核心に触れずにプロジェクトが進む。

わくわくする見た目を掲げながら、出来上がるのは、感情を無にするインターフェース。これにわくわくする人類、存在するの?

「認知負荷ゼロ」という名の思考停止させるUIと戦い、「AIが出したそれっぽい何か」に対して「これ何のためのUIなんですか?」って人間に聞き回る仕事をしています。

「なんでこんな悲惨な状況なんだ」というのは、根本的な原因は明らかですが、また後日書きます。

Share